ニュース


新聞・マスコミ報道 2000年

2000年9月13日

グアムも母港の候補

◆原子力空母配備で米海軍
 二〇〇八年にも退役するとみられる米海軍の通常型空母「キティホーク」の後継艦として原子力空母の横須賀配備が想定されるなか、日本側が配備を認めなければ、グアム諸島も母港の候補となり得る とする第七艦隊司令官の見解が、九日付の「星条旗新聞」で紹介された。米海軍は「横須賀から空母は動かさない」との姿勢を貫いているが、米海軍が原子力に対する日本の世論に注目している様子が うかがえる。
 米海軍第七艦隊司令官のジェームズ・メツガー中将が、同紙のインタビューに答えた。
 同司令官は、あくまで「空母を日本以外の場所に移そうという議論を、米海軍が本気で行っているかどうか分からない」「当面は、(グアムに)空母戦闘群を配備することは考えていない」と慎重な姿勢ながら「日本がもし、原子力空母の配備を許さなかった場合、グアム諸島は母港の選択肢の一つとなり得 る」と語っている。
 さらに、米海軍は遅くても二〇一三年までには通常動力の空母を退役させる計画でいることを明らかにし、米海軍が横須賀から空母を撤退させない限り、原子力空母の配備が浮上することを示唆してい る。
 横須賀の空母配備をめぐっては、米海軍が原子力空母しか新造していないことから「キティホーク」の後継艦が原子力空母であるとの見方が強まっている。地元・横須賀では「市民の会」が発足し、反対の 署名運動などを展開している。

(神奈川新聞ホームページ・2000−9−13

2000年8月31日

ヒヤリ!隣に核燃料工場

爆発で吹っ飛んだスレートで被害を受けた乗用車

=横須賀市久里浜工業団地


◆横須賀のスクラップ工場爆発事故
 中小企業の事業所が入居する横須賀市内の工業団地で三十日午後、鉄くずの裁断機が爆発して作業員一人が重傷を負う事故があった。爆風で工場は鉄骨の骨組だけになり、周辺施設も窓ガラスが割 れるなど被害が広がった。すぐ近くには、二酸化ウランの粉末を原料とする核燃料の加工施設が稼働中。一瞬、「原子力施設での事故か」と身構えた付近の工場従業員や住民からは、安どの声に交じっ て、原子力施設が身近に存在することへの「不安」を訴える意見も目立った。
 三十日午後一時五十五分ごろ、横須賀市内川の鉄くず問屋「千代田商事」(福西勇社長)の工場内で、油圧式の鉄くず裁断機(高さ二メートル、幅三メートル、長さ八メートル)が稼働中に突然爆発、炎上 した。約二時間後に鎮火したが、裁断機のそばにいた同市野比、同社従業員の三壁悟さん(31)が大破した機械の破片や熱風を頭や腕に浴びて、市内の病院に運ばれたが重傷。
 浦賀署などの調べでは、鉄骨平屋の広さ約八百三十平方メートルの工場の屋根や壁、工場内にあった鉄くずなとが爆風で半径約二百メートルにわたって飛び散り、近くの工場やパチンコ店の窓ガラス、駐 車中の車のフロントガラスが割れる被害が出た。
 同署によると、事故当時、工場内には三壁さんを含めて二人の従業員がおり、機械を使って鉄くずの裁断作業にあたっていた。
 三壁さんはパワーショベルを使って鉄くずを運ぶ作業を担当していたらしく、もう一人の従業員がごみを捨てに工場の外に出て間もなく、爆発が起きたという。 浦賀署は、裁断機の操作を含め、作業手順に安全管理上の不備がなかったかどうか、福西社長らから 詳しい事情を聴いている。
 現場はJR久里浜駅に近く、輸送用機械器具などを製造する約六百五十の中小事業所が入居する久里浜工業団地の一角。

◆100メートル先「怖さ実感」
 事故の爆風は、現場から百メートルほど離れた核燃料加工会社「日本ニユクリア・フユエル」(JNF)にも押し寄せた。幸いにも、同社の被害は窓ガラス約三十枚が割れるだけで済んだが、周辺工場の従業 員らからは「原子力災害につながらなくてよかった」という安どの声が漏れていた。
 原子力発電所向けの原子燃料体を製造しているJNFによると、今回の事故による操業や放射性物質の管理区域などへの影響はないという。同社担当者は「放射性物質を扱っている施設には窓はなく、衝 撃波などの外圧にも十分耐えられる構造」と安全性を強調している。
 しかし、「工場街に建つ原子力施設」への懸念を指摘する声は相次いだ。金属部品製造の工場に勤める男性(30)は「今回は窓ガラスだけで済んだが、爆発の規模がもっと大きかったら、原子力事故に つながりかねないのではないか。そう思うと、ぞっとする」と不安げな表情。
 工業団地近くに住む男性会社員(47)も「目と鼻の先にJNFがあり、爆発の影響を心配していた。安全とはいわれているけれど、何が起こるか分からないので不安です」と話していた。

◆「耐久性は問題なし」/県は職員派遣
 原子力加工施設の日本ニユクリア・フユエル近隣で起きた工場火災について、県は、防災局や横須賀三浦地区行政センターの職員を現場に派遣、事態の把握に努めた。
 同局によると、稼働中の県内の原子力施設は三カ所四施設あるが、「爆発事故を起こす危険のある施設が、これらの周辺にあるとは認識していなかった」という。ただし「原子力施設自体はマグニチュー ド8級の地震にも耐えられるなど国の基準を満たしており、耐震・耐火性は極めて高い」とし、火災などでは問題ないとしている。
 県では現在、施行された国の原子力災害対策特別措置法に基づき、よりきめ細かい具体的な対応を盛り込むため、県地域防災計画の放射性物質災害対策編の見直しに着手しており、本年度内に改訂 する予定。

(神奈川新聞ホームページ・2000−8−31

2000年8月22日

乗員1人の遺体発見…露国営テレビ

 ロシア北方バレンツ海で露海軍北洋艦隊所属のオスカー(2)級原子力潜水艦「クルスク」(水中排水量1万8300トン、乗員百十八 人)が沈没した事故で、北洋艦隊のミハイル・モツァク参謀長(海軍中将)は二十一日ロシア通信に対し、「最悪の事態が確認された。乗員は全員死亡した」と初めて公式表明した。

 オスロからの報道によるとノルウェー海軍報道官も同日、「救出作戦は終了した」と言明した。「全員死亡」確認で、今回のクルスク沈没は旧ソ連時代を含む露海軍史上、最悪の潜水艦事故となり、既に事故対策の出遅れなどを批判され窮地に立ったプーチン露大統領にとり、さらに重大な政治的打撃となろう。

 英国、ノルウェーの国際救出班は二十一日午後一時(日本時間同日六時)までに、クルスク後部の脱出用ハッチを開けることに成功。生存者がいる可能性が残されていた後部の第九区画も完全に海水で満たされていることが確認された。また、露国営テレビによると、同区画内の脱出ハッチ近くで初めて乗員一人の遺体が発見された。

 オスロからの報道によると、イワノフ露外相は同日、ノルウェー政府に対し今後の乗員の遺体回収での協力を要請した。ロシアのクレバノフ政府事故調査委員長(副首相)は、原潜の引き揚げ作業を検討するため、外国に技術、財政面で支援を要請する考えを明らかにした。

 クルスクは小型の加圧水型原子炉二基を積んでいるが、露海軍当局は「原子炉は沈没時に緊急停止された」などとして、放射能漏れを含む災害の可能性を否定。また、目下のところ、周辺での放射能レベル上昇などの兆候はないとされる。しかし、海底に放置されれば環境汚染の恐れも否定できず、今後、対策が焦点の一つとなろう。

 クルスクは十二日午前、演習中に無線連絡を絶った。露海軍は事故発表後、自力の救援活動が難航したため、英国、ノルウェーに救助支援を要請したが、北洋艦隊のモツァク参謀長は十九日、既に乗員の生存は絶望的との判断を示していた。

(Yomiuri On-Line・2000−8−22

2000年8月21日

原子力空母はノー 入場者らの声

 通常型空母「キティホーク」は二十日、大勢の見物客でにぎわった。艦上に漂う友好ムードの一方で、キ号が退役する二〇〇八年ごろには、原子力空母の横須賀配備が懸念されている。折しも同基地には同日現在、米原子力潜水艦二隻が同時寄港中で、ロシアの原潜事故も大きく報道されているさなかとあって、入場者からは「原子力艦船」に対する不安の声も聞かれた。

 横浜市内に住む男性会社員(48)は「原子力は何が起こるか分からない。原子力空母を横須賀に配備する計画があるのなら、絶対に反対します」ときっぱり「ノー」を突きつける。同市内の別の男性会社員(29)も「原子力はいろいろ事故が起きているので怖い。安全が絶対条件です」と話していた。

 横須賀の市民団体「NEPAの会」の清水昭司代表は、この日の基地のにぎわいぶりに「反基地への関心が薄れつつある」と分析。「ただ、原子力空母の配備反対だけは譲れない。原子力空母の横須賀配備の危険性をもっと強く訴えながら、反対運動を盛り上げていきたい」と話していた。

(神奈川新聞ホームページ・2000−8−21

2000年8月17日

JCO臨界事故、中性子線量が判明

 昨年九月に起きた茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で放出された中性子線量は、現場から百メートルの地点で、一般の年間許容線量の約二百二十倍に達していたことが、京大工学部などによる五円玉の被ばく線量の分析で分かり、十七日発行の英科学雑誌「ネイチャー」に掲載された。

 まとめたのは、京大工学部の河野益近技官と、元東大工学部アイソトープ総合研究センター助手の小泉好延氏。河野技官らは、五円玉に含まれる亜鉛64が中性子線を受けると亜鉛65に変わる性質を利用し、事故現場から半径百―五百五十メートルの民家にあった百十九個について、亜鉛成分の変化量を調べた。その結果、現場から百メートルの地点で被ばく線量は約二百二十ミリ・シーベルトにも達した。避難要請の対象となった三百五十メートルの地点で六ミリ・シーベルト、五百五十メートルの地点で も一・八ミリ・シーベルトと、いずれも一般の年間許容線量一ミリ・シーベルトを上回った。

 河野技官らが、昨年十一月にまとめた速報値では、臨界事故当時の線量を百メートル地点で約百ミリ・シーベルトと推計していた。

(Yomiuri On-Line・2000−8−17

2000年8月14日

露原潜、バレンツ海海底で航行不能 乗員救出困難か

インターファクス通信によると、ロシア海軍報道官室は十四日、同国北方のバレンツ海で演習中だった北洋艦隊所属の巡航ミサイル搭載原子力潜水艦「オスカー2級」(水中排水量1万 8300トン)が航行不能に陥り、水深 約百メートルの海底に沈んでいると発表した。報道官によれば、現場は 同艦隊司令部のあるセベロモルスク軍港東方沖約百三十キロ。艦内には百人以上が閉じ込められている模様だ。

 同級原潜は本来、威力五百キロ・トン(TNT火薬換算)の核弾頭を装着する巡航ミサイルSSN19二十四基などを搭載可能。核兵器、原子炉破 損などによる汚染も懸念されるが、同報道官室は、事故当時、核兵器は搭載されておらず、原子炉も停止され、放射能漏れなどの心配はないとしている。露海軍のクロエドフ総司令官は、「大きな衝突の痕跡がある」とタス通信に語るとともに、乗組員の救出の「チャンスは高くない」と悲観的見通しを示した。艦隊当局者は、インターファクス通信に対し、漂流物や外国 の潜水艦に衝突したことも排除できない、と米海軍潜水艦などが事故に絡んだ可能性を示唆した。

 露独立テレビによると、事故は十三日午前中に発生。原潜は、魚雷発射の訓練の最中に艦首内への浸水に見舞われた。現場海域には水上艦艇数隻が集結、事故原潜の救助活動にあたっているが、原潜内は停電 し、酸素も減って自力浮上は不可能になったとされる。

 旧ソ連時代からの重大な原潜事故には、▽一九八六年十月、大西洋の バミューダ諸島の北東約千キロで火災を起こし沈没▽八九年四月、ノルウェー沖で沈没し四十二人が死亡、核兵器からのプルトニウム流出が懸念された事例などがある。

(Yomiuri On-Line・2000−8−14


もどる