第1編 総 論

第1章 マニュアルの主旨

第1節 マニュアルの目的

 このマニュアルは、寄港中の米国原子力軍艦の原子炉にかかる万一の事故(以下「原子力軍艦事故」という。)による災害に対する横須賀市の防災対策(以下「原子力軍艦事故防災対策」という。) に関し必要な体制を確立するとともに取るべき措置を定め、総合的かつ計画的な原子力軍艦事故防災業務を遂行することにより、市民の安全を図ることを目的とします。

第2節 原子力軍艦事故防災対策の特殊性

 原子力防災対策には、一般防災対策活動に共通あるいは類似のものに加えて以下のような特殊性があります。

(1) 放射線又は放射性物質の存在は、放射線測定器を用いることにより、健康への影響が考えられない微量でも検知できる。しかし、その存在を、五感で直接感じることができず、被ばくの程度をみずから判断できないこと。

(2) 一般的な災害と異なり、みずからの判断で対処するためには、放射線等に関する基本的な知識を必要とすること。

 これらに加えて、原子力軍艦事故による災害については、設計又は運航に関する技術的な情報が一切提供されないため、災害の予測が困難なことが挙げられます。

第3節 原子力軍艦事故防災マニュアルの構成

 原子力軍艦事故防災マニュアルは、マニュアル本編、資料及び各種要領により構成します。
 なお、マニュアル本編の構成は、以下のとおりです。  

(1) 第1編 総論
 マニュアルの主旨、原子力軍艦事故防災対策地域の範囲など、このマニュアルの基本となる事項を定めるものです。  

(2) 第2編 災害事前対策 
 教育、訓練、市民の生活確保の方策などの事前対策を定めるものです。

(3) 第3編 災害応急対策
  原子力軍艦事故による災害が発生した場合の応急対策を定めるものです。

(4) 第4編 災害復旧対策
  原子力軍艦事故による災害発生後の復旧対策を定めるものです。

第2章 原子力軍艦事故防災対策地域の範囲

第1節 防災対策を充実すべき地域の範囲

 原子力軍艦の設計又は運航に関する技術上の情報は一切提供されないことから、原子力軍艦事故による災害の定量的な想定は困難です。

 このため、「原子力発電所等周辺の防災対策について」(昭和55年6月30日 原子力安全委員会決定)において防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲は原子力発電所等を中心として半径約8〜10キロメートルの距離をめやすとすることが提案されていること等から、原子力軍艦事故による災害発生時において防災対策を充実すべき地域の範囲は、横須賀市全域とします。

[ 資料 1 - 2 - 1 「防災対策を充実すべき地域の範囲の検討について」 ]

第3章 原子力軍艦事故防災対策の業務の大綱

第1節 原子力軍艦事故防災対策の業務の大綱

原子力軍艦事故による災害の被害を軽減し、市民等の生命、身体及び財産を保全するために実施する業務の大綱は、以下のとおりです。

(1) 原子力軍艦事故防災マニュアルの作成
(2) 原子力軍艦事故防災対策に関する組織の整備
(3) 原子力防災に関する知識の普及と啓発
(4) 原子力軍艦事故防災訓練の実施
(5) 国、県及び防災関係機関等との通信連絡体制の整備
(6) 原子力軍艦事故防災活動資機材等の整備
(7) 原子力軍艦事故災害に関する情報の収集、伝達、広報及び被害調査の実施
(8) 緊急時モニタリングの実施
(9) 市民等の避難等及び立入制限
(10) 緊急時医療措置
(11) 飲料水・飲食物の摂取制限等
(12) 食料、医薬品その他物資の備蓄及び確保
(13) 緊急輸送の確保
(14) 被災者の救出、救護等の措置
(15) 災害復旧の実施
(16) 汚染の除去
(17) 被災者の把握に必要な資料の作成
(18) その他災害対策に必要とされる措置


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